Ogre Battle SAGA episode X
ヴァレリアの軍事考察
The tactics of Valeria
オウガバトルシリーズの魅力の一つに、よく練りこまれたゲームのバックボーンがある。それだけでひとつのゲームが出来てしまいそうだ。というわけで、TacticsOgreの背景となる、ドルガルア王のヴァレリア統一戦争がもしゲームになったらと思い、そのシステム上重要なヴァレリアの軍事機構についての一文をでっちあげた。
魔導兵と小部隊襲撃戦術
ヴァレリア島での戦争を考える上で、マジックユーザーの存在は欠かせない。
魔導師の魔導打撃により密集した部隊は、瞬時に壊滅する危険性がある。(故に部隊は散開せねばならない)
また従軍僧侶による兵士の治癒は、部隊の前線での継戦応力の向上をもたらしている。
そしてウイッチの魔導支援は直接的な敵の攪乱のほかにも、索敵や連絡などにも活用される。
以上の特性は、小部隊単位での単独戦闘が可能としている。
これらは、レモニカ王の軍制改革・ドルガルア王の兵団戦法を経て王弟パウエル大公が確立した小部隊襲撃戦術に結実される事となった。
戦術単位
通称アタックチームと称される10名程度の小部隊が、ヴァレリア島での戦術単位となる。
ただし、諸クラスがバランス良く編成され、練度も高く、指揮官の明確な統率下で行動できるアタックチームが出来あがったのは、統一戦争末期である。
騎士団
統一戦争前、諸侯は幾多の騎士団を率いて、戦場に向かった。
騎士団自体は、各地の小領主の私兵であり、主君の諸侯の召集に応じて参集する。
騎士団の勢力は、その小領主の経済力によりまちまちであり、装備や編成も統一されていなかった。戦場指揮官(コマンド)の指揮権や、君主たる大領主の統帥権も明確ではなかった。
「騎士団」は、当初戦術単位であったが、多くの問題点を抱えていたため、戦争の激化によって変遷を余儀なくされていった。
レモニカ王の軍制改革
統一戦争初期にフィダック・ガーディアンが最強を誇った理由は、騎士団主体の軍制を嫌ったレモニカ王が、貴族の子弟と傭兵や徴募兵・によって君主直轄の軍を編成したことにある。
フィダック・ガーディアンは、近衛連隊(ガード・レギオン)に一括して所属し、レギオン内の騎士団に配属される。
経済上の問題と、戦術単位増加のため、この近衛騎士団は、通常の騎士団より小人数の編成であった。だが、統制の取れない前時代的な騎士団など平時より部隊訓練を積んでいるフィダック・ガーディアンの敵ではなかった。
バーニシア軍の兵団編成
主君を失い貴族が保身に走ったバーニシアでは、義勇兵や傭兵から成る「兵団」(他国の騎士団に相当)を戦術単位にすると部隊が足りなくなるため、兵団をさらに分割した「分隊(スクォード)」を戦術単位にして戦うことしか出来なかった。近衛騎士団よりも小人数の分隊では、いきおいその戦い方もゲリラ的になる(編注:当初はゲリラそのものであった)。
その分隊が、フィダック近衛兵を悩ませ、ついには反撃に転ずることが出来たのは、バーニシア魔導院とフィラーハ教団の協力が大きい。各兵団(場合によっては分隊)にはウィザード・ウイッチやクレリックが配属され小人数の不利を克服した。
そして、これらの兵団・分隊が相互の緊密な連絡の元に同時並行的に前線や敵後方への襲撃を繰り返した。
統一戦争が進むにつれこの戦法は大きく発達し、戦乱末期の対ブリガンテス戦においては、ブリガンテス領内に浸透したアタックチーム(分隊)の擾乱活動に業を煮やしたロデリックが自らの領内での禁呪の使用を決断しなければならなくなるほどであった。
パウエル・ドクトリン
ドルガルア王のアタックチーム戦術は、王の死後に勃発した内乱で王の遺児ベルサリア(*1)の義弟パウエル大公(*2)によって完成される。
パウエル大公直属のアタックチームは、高い練度とバランスのとれた編成で指揮官の意のままに戦闘した。また、戦線の正面ではなく別働隊のように運用されたが、緊要な時期・場所に投入され、その衝撃力は1個連隊に相当すると謳われた。
(*1)ベルサリア
ヴァレリア王国2代目国王 クイーン・カチュア
(*2)パウエル大公
デニム・モウン 女王の義弟であり内乱集結の功労者。
戦後、父の通り名のパウエルを姓とする。
大公、王太弟。